杉樽ヒストリー・・・③ ホトホトと戸を叩いて…。
こんにちは。いつもありがとうございます。
杉樽の欠点ばかり見て杉樽を疎ましく思っていた私が
いつ頃からか杉樽を見直すようになったのか…。
多分いろいろな醸造場を見学させていただいた印象から
「杉樽ってすてたものではない…。」と考え始めたと思います。
味噌・醤油屋に生まれて育ったけど何も知らないと自覚、
焦った私は他の会社はどういう風にされているのだろうか、
教えてほしいと考えました。
心当たりの会社に電話、仕込みを見学させて下さいとお願いしました。
どこも快諾して下さいました。
イメージとしては日暮れにホトホトと戸を叩き
「ごめん下さい。ごめん下さい。旅の途中の者です。
道中のことが皆目わかりません。
目的地まで暗くて遠いのですが、
どうか些細なことでも何でも結構ですので、
教えて頂けることがあればお聞かせ下さい」
日本昔ばなしのような心境です。
山口県で3社、福岡県で4社、佐賀県で1社見せて下さいました。
(全く見知らぬ処もありました。
よくぞ見せて下さったと今でも感謝しています。)
仕込み場や櫂入れの様子やおみその充填など
どれも印象深かったのですが
妙に頭に残っているのは福岡のとある醸造蔵のオケ洗い場。
大きな窓に面していて大木の桜の花びらが
ハラハラと風に舞って入ってきた風景です。
窓もほとんどない古い暗い蔵育ちの私には憧れだったのかも。
バラバラの見学の様子が自分の中に積み重なって
何となく方向性が定まってきました。
杉樽はもう少ない……。
杉樽は大事にしなくてはいけない……。
時を経ていよいよ樽の中の諸味をお醤油にする時が来ました。
専用の布で包み、木の船の中である程度固くしてから
船を外します。
薄いチョコレートを何百枚も重ねたような感じです。
これ位の厚さになるまで搾り切ります。
1tの圧板で圧搾した最初の液が一番しぼりです。
ビールだけでなくお醤油にも一番しぼりはあるんですよ!!
(穀物油など圧搾して抽出するものは
必ず一番しぼりがあるハズです)
勿論一番良質の、おいしい液です。
その液を火入れ釜に溜めていきます。
つづく

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